裁判員制度Q&A

 

裁判員制度Q&A

質問

弁護人は、なぜ悪いことをした人の味方をするのですか?

質問

逮捕された人が極悪人のように報道されることが多いです。しかし、まず「本当に犯人か」の慎重な検証が必要です。警察権力は強大で、一歩間違うと取返しがつきません。最近も「自白させられ刑務所に入った後で真犯人が見つかった」という事件がありました。捜査機関と厳しく対決し、過ちを防ぐのが弁護人です。また、真犯人でも、根は真面目だが様々な事情で罪を犯した人や生い立ちや境遇に同情すべき人もいますし、被害者に落ち度がある事件もあります。どのような被告人にも必ず良い面があります。検察官は悪い面を中心に主張するので、良い面を主張して公平で適正な刑罰を求めることも、弁護人の重要な役割なのです。

裁判員になると、後で、被告人やその関係者から仕返しをされることはありませんか?

裁判員に選任された方については、裁判所において、安全確保のため、氏名、住所などの個人情報は、厳重に管理し、公にならないように配慮がなされています。そのため、被告人やその関係者が、裁判員になられた方の住所等を知ることは、ほぼ不可能と考えられます。したがって、裁判員が参加して被告人に対し厳しい判決が下されたからといって、後に仕返しをされることは、まずないと考えられます。

死体の写真など、見たくない証拠も見なければいけないのですか?

事件によっては、死体の写真など見たくない証拠も見なければならない場合があります。裁判は、「証拠」によって「犯罪事実」を認定します。つまり、証拠なしには犯罪事実を認定できません。犯罪事実を認定するために必要なものが証拠ですから、必要がなければ証拠として提出されることはありません。従いまして、事件の内容次第で、提出される証拠が違ってきますので、事件によっては、見たくない証拠も提出されることがあります。ただ、証拠として提出される場合でも、できる限り裁判員の方の心理的な負担の少ない方法で行うよう配慮するとされています。なお、最高裁判所は、裁判員の方が精神的なショックを受けた場合に備え、
1. 24時間体制の無料の電話相談窓口を設け、
2. 臨床心理士らによる面接カウンセリングを5回無料で受診できる体制を整えています。

取調で自白して、法廷では一転否認するケースが多いそうですが、こんな「いいかげん」な被告人は信用できないと思うのですが?

やってもいないのに「やりました」と嘘の自白をすることなんて本当にあるのだろうか、と不思議に思われるかもしれません。しかし、厳しい取調に耐えられずに嘘の自白をしてしまう事件は、実にたくさんあるのです。先日も「裁判所が嘘の自白を見抜けず、刑務所に入れられた後、真犯人でないことが分かった」という悲惨な事件がありました(足利事件など)。「一度認めたくせに・・・」などという思い込みは、過ちを生む大きな原因です。裁判員となられたときは、真っ白な気持ちで法廷に臨み、あなたの目や耳で直接、そして冷静に、「私はやっていません」という被告人の主張を聞いてください。

裁判員が直接被告人に質問をすることはできるのでしょうか?

裁判員裁判の目的は、市民の皆さんの感覚を刑事裁判に反映させることにあります。そのため、審理の過程の中で、裁判員の皆さんが疑問に感じられた点は、直接被告人や証人に対し、質問をすることができます。そうはいっても、初めて参加する裁判で、「こんなことを聞いたらいけないのではないか?」と不安に思われるかもしれません。しかし、皆さんが疑問に感じた点を残したまま、審理を続けると、評議に参加しても、自分の意見を述べることができなくなりかねません。質問をするに際し、不安があれば、事前に裁判官に相談することもできます。是非とも、積極的に、質問などを行って、疑問が残らないようにして下さい。

裁判官というと、「裁判のプロ」というイメージがあります。専門家の裁判官と違う意見を持った場合、どうしたらよいのでしょうか?

裁判官と異なる意見であっても積極的に意見を述べて下さい。異なる意見であれば、なおのこと意見を述べる必要があるのです。裁判員裁判は、裁判官と裁判員が一緒に事実認定をして刑を定めます。裁判員が参加するのは一般市民の社会常識を裁判の場に反映させる必要があるからです。大事なことは6人の裁判員の社会常識が裁判の場に反映されることです。そのために意見を述べる必要があるのです。

評議で迷ったときはどうしたらいいのでしょう。最後は裁判官に頼りそうなのですが?

あなたの迷いが最後まで消えない場合、有罪か無罪かについては「無罪」、量刑については「より軽い刑」としなければなりません。なぜなら、刑事裁判では、検察官に、有罪や量刑について「間違いない」という確信に至るまで証明する重い責任があるからです。「疑わしいときは被告人の利益に」という大原則です。最後まで迷いが消えないのは、「検察官の証明が足りない」ということなのです。また、裁判員裁判は、様々な立場の人が様々な観点から意見を出し合って、「無実の人を罰する」という過ちを無くしよう、という制度です。裁判官だからといって絶対に正しいというわけではありません。裁判官に遠慮したり迎合したりせず、あなたの感覚で判断してください。

評議で「有罪か無罪か」「有罪の場合に刑の重さをどうするのか」を決める際、どのような方法で行うのでしょうか?

評議で議論を尽くして、全員の意見が一致することが一番良いことだと思います。ですが、全員の意見が一致しないことも当然あると思います。その際は、裁判官も裁判員も一人一票の多数決で結論を決めることになります。ただし、多数決の中でもいくつかの特別なルールがあります。有罪か無罪かを決める際、被告人に不利益な判断をする場合には、裁判官及び裁判員双方の意見が含まれていないといけません。ですから、例えば、裁判員6名全員が有罪と判断しても、裁判官全員が無罪と判断すれば、無罪の結論になります。また、刑の重さを決める際、多数決をとっても三説以上に分かれていずれも過半数にならない場合もありえます。その際は、被告人にもっとも不利益な意見を順次、次に不利益な意見に加えていきます。
例えば、
裁判員 3名 裁判官1名・・・懲役7年
裁判員 1名 ・・・懲役6年
裁判員 2名 裁判官2名・・・懲役5年
の場合、いずれの意見も過半数にならないため、被告人にもっとも不利な懲役7年を次に不利益な懲役6年の意見に加えます。そうすると過半数の意見が懲役6年ということになりますので、懲役6年という結論になります。

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