声明・意見書

死刑執行に関する会長声明

 2018年(平成30年)12月27日、大阪拘置所において2名の死刑が執行されました。本年7月に計13名の死刑が執行されて以来の執行であり、本年の執行人数は合計15名となりました。また、第2次安倍内閣以降、死刑が執行されたのは15回目、合計36名に対して死刑が執行されたことになります。
 死刑は生命を奪う刑罰であり、誤判の場合、事後的な回復が不可能です。そして誤判・えん罪の危険が現実のものであって、誤った死刑が執行されるおそれが否定できないことは、これまでの複数の再審開始決定が明らかにしています。なお、本日死刑が執行された2名のうち1名は再審請求中でした。
 国際連合の自由権規約委員会は、日本の第6回定期報告に対する最終見解(2014年7月23日採択)において、死刑判決に対する必要的な上訴制度がないこと、再審請求に死刑の執行停止効がないことなど、日本の死刑制度には国際人権基準の観点から問題があると指摘しています。
 そもそも国際社会においては、死刑廃止に向かう潮流が主流です。2016年(平成28年)12月19日には、国連総会において「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議が、2014年(平成26年)12月に引き続き117か国の賛成により採択されています。また、2017年(平成29年)12月末日現在、死刑を廃止又は停止している国(10年以上死刑が執行されていない国を含む。)は142か国に及び、世界の3分の2以上の国において死刑の執行がなされていません。

 このような死刑制度が抱える重大な問題性や国際的な死刑廃止への潮流に鑑み、日本弁護士連合会は、2016年(平成28年)10月7日、第59回人権擁護大会において、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し、日本で国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに、死刑制度の廃止を目指すべきであることを宣言しました。同宣言は、犯罪被害者や遺族への支援の拡充を求める一方、人権を尊重する民主主義社会における刑罰制度は、犯罪への応報にとどまらず、社会復帰の達成に資するものでなければならないとの観点から、死刑制度を含む刑罰制度全体の抜本的見直しを求めるものです。

 今回の死刑執行は、このような死刑制度を巡る国内外の情勢の変化及び人権擁護大会における上記の宣言を無視するものであって、極めて遺憾です。

 当会は、政府に対し、直ちに死刑の執行を停止し、2020年までに死刑制度を廃止することを求め、今回の死刑執行に対し強く抗議します。

2018年(平成30年)12月27日
札幌弁護士会
会長 八木 宏樹

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