声明・意見書

北星学園大学及びその教員等に対する脅迫行為に関する会長声明

 2014年5月及び同年7月、札幌市厚別区に所在の北星学園大学に対して、同大学の非常勤講師の退職を要求し応じなければ学生に危害を加える等の脅迫文書等が届き、警察が捜査中との報道がなされた。同大学のホームページ上の記載からは、元記者がいわゆる従軍慰安婦に関する記事を過去に書いたことに起因すると認められる。

 このような脅迫行為は極めて卑劣な犯罪である。とりわけ、学問の自由・大学の自治に対する重大な侵害行為であって、到底許されるものではない。
 さらに、インターネット上に元記者とその家族の氏名や顔写真が掲載され、脅迫文言が書き込まれるという事態に至っている。
 大学に対する脅迫行為、元記者個人と家族に対する脅迫行為等は、その大学や個人の問題にとどまらず、ひいては、学問の自由・大学の自治、言論・報道の自由を侵害し、民主主義の基盤を根底から覆しかねない。

 当会はこれまでも、様々な人権課題について会長声明や意見書等を通じて対外的な意見表明を行ってきた。今回の問題はとりわけ、民主主義社会の根幹をなす憲法上の権利に係る重大な侵害行為であり、緊急性のある憂慮すべき問題である。当会は、事態を一刻も早く終息すべく捜査が遂げられることを求める。併せて大学に対して、自治を守るため毅然と対応されていることに敬意を表する。
 当会は、このような人権侵害行為、ひいては憲法秩序への挑戦に対して、これを抑止・根絶するための取組みを推し進めていく所存である。

2014(平成26)年10月10日
札幌弁護士会
会長  田村 智幸

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