最低賃金の引き上げに関する会長声明
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声明・意見書2009年度

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最低賃金の引き上げに関する会長声明

  1. 2008年7月に施行された改正最低賃金法は、賃金の低廉な労働者について賃金の最低額を保障する最低賃金を定めるにあたって、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮することを求めている(同法9条3項)。
  2. ところが、同改正法の施行後である2008年8月25日、北海道最低賃金審議会は、北海道最低賃金の時間額を13円引き上げて667円とする、最低賃金が生活保護基準を下回っていることについてはこれを直ちに解消することなく、5年以内に解消するとの答申を行った。この答申に基づき、同年10月19日、2008年度の北海道最低賃金は上記のとおり時間額667円に改定された。
    そして、現在手続が進められている2009年度の北海道最低賃金の改定に際し、同審議会が本年8月12日に行った答申も、時間額をわずか11円のみ引き上げ、678円とするものであった。
  3. 労働者が時間額678円で1日8時間、月22日間働いたとしても、月額賃金は11万9328円であり、年収で143万1936円にしかならない。いくら働いても人間らしい生活ができない「ワーキングプア」や賃金格差が大きな社会問題となっている今日、最低賃金の大幅な引き上げが喫緊の課題である。
  4. また、厚生労働省の調査によると、北海道における2007年度の生活保護基準(生活扶助と住宅扶助の合計額。12歳から19歳の単身者の場合)は月10万6512円であり、これに相当する可処分所得が得られる賃金の時間額は、税及び社会保険料の負担が考慮されるため714円となる。今回、北海道最低賃金が678円に引き上げられたとしても、生活保護基準をなお36円下回っている。
  5. 改正最低賃金法が定めている生活保護施策との整合性は、憲法で国民に保障されている生存権に直結する最低限度の要請であり、現在の生活保護基準も決して十分なものではないが、少なくとも同基準との「逆転」現象を解消する金額まで、最低賃金は直ちに引き上げられるべきである。

2009年8月27日
札幌弁護士会 会長  高崎 暢

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