国選付添人対象事件の拡大を求める会長声明
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声明・意見書2009年度

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国選付添人対象事件の拡大を求める会長声明

 弁護士付添人は,少年の非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適切に行われるよう,少年の立場から手続に関与し,家庭や学校・職場等少年を取りまく環境を調整するなど,少年の立ち直りを支援する活動を行っている。
 少年審判を受ける少年たちは,これまで信頼できる大人に出会えないまま,非行に至っていることも少なくない。そのような少年を受容・理解したうえで,法的・社会的な援助を行い,少年の成長・発達を支援する弁護士付添人の存在は,少年の更生にとって極めて重要である。そして,このような付添人の役割に鑑みれば,国費により弁護士付添人を付する制度(国選付添人制度)を拡充し,少年の弁護士付添人の援助を受ける権利を実質化することは国の責務であるというべきである。この点,わが国が批准している子どもの権利条約37条(d)においても,「自由を奪われた全ての児童は,・・・弁護人(及び)その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有する」と規定されているところである。
 しかし,現行の国選付添人制度は,その対象を重大事件に限定しており,しかも,家庭裁判所が必要と認めた場合に裁量で付すことができる制度に止まっている。実際,2008年の全国統計によれば,身体拘束を受けた少年の総数11,519人のうち,国選付添人が選任された少年は僅か422人(約3.7%)に過ぎない。
 このような問題状況のもと,日本弁護士連合会は,全国の会員から特別会費を徴収して設置した少年・刑事財政基金を財源として,弁護士費用を賄えない少年を援助する少年保護事件付添援助制度を実施してきており,また,当会ではこれに加えて独自に私選付添人の援助を行ってきた。その結果,現在,札幌管内では,少年鑑別所に送致された少年のほぼ9割に,弁護士付添人が選任されている。
 しかし,上記のとおり付添人制度の実現は,本来,国の責務であり,弁護士会員の私財によって支えられている現行の付添援助制度は,国選付添人制度が拡充されるまでの臨時的・暫定的なものに過ぎない。
 また,昨年5月21日以降,被疑者国選弁護制度の対象事件が必要的弁護事件にまで拡大されたが,国選付添人制度の対象は重大事件に限られたままであるため,被疑者段階では国選弁護人の援助を受けていた少年の大多数が,家庭裁判所送致後は国選付添人による援助を受けられないという制度的な矛盾も生じている。
 このような矛盾を解消し,少年に対して弁護士付添人の援助を受ける権利を実質的に保障するには,国費による弁護士付添人制度を拡充させることが不可欠である。とりわけ,観護措置決定を受けて少年鑑別所に収容された少年は,身体拘束によって外界と隔離されるため手厚い保護を与える必要があるのみならず,成育歴・家庭環境等に問題を抱えていることが多く,また,少年院送致,児童自立支援施設送致等の重大な処分を受ける可能性があることなどから,弁護士付添人の援助を受ける必要性が高い。

 よって,当会は,速やかに,国選付添人制度の対象事件を少年鑑別所に送致され身体拘束されたすべての少年の事件にまで拡大するよう少年法の改正を求める。

以 上

2010年1月13日
札幌弁護士会 会長  高崎 暢

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